ブラジル, パライバ州において観察したキャッサバほかトウダイグサ科作物の側枝の発育と花成との関係
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概要
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1980年と1981年の2回にわたり, ブラジル東北部パライバ州で, トウダイグサ科に属するキャッサバ(Manihot esculenta Crantz), ピニョン(ブラジル名.Jatropha pohliana Muell.Arg.)及びシーラゴム(Manihot glaziovii Muell.Arg., ブラジル名マニソバ〕の生育と側枝の発育を観察した.キャッサバは, 1981年4月中旬から5月初めまで, 植付け後10か月の畑と3か月の畑で生育を調査し, 主茎又は側枝の先端2〜3節の側枝が発育すること, 側枝の発育はヒマと同様に, 母茎頂端の花房の形成に伴って起こることを観察した.側枝はPlastochron index(P.I.)と長さのいずれも, 花房の伸長と密接な直線関係を以て発育が進んだ(図1).花房長に対する回帰直線から, 側枝と花房がほぼ同時に発育を始めることが示された.第1節側枝(最上位を第1節とする)と第2節側枝間には発育の差が全くなかったが, 第3節側枝は上位2側枝より発育が劣り, 発生する2次側枝の数も著しく少なかった.2次側枝はP.I.では1次側枝と差がないが, 長さが劣り, 3次側枝は1次, 2次両側枝に比してP.I., 長さともに劣って, 高次側枝は発育の進みが遅いことを示した.また, 一部の個体では花房が初期に発育を停止して落下したが, 側枝は発育を続けた.P.I.から求めた葉数増加速度は1日当たり0.4〜0.65程度で, 側枝は主茎より僅かに小さく, 1次側枝と2次側枝間及び第1節側枝と第2節側枝間の差は小さかった.個体当たり緑葉数は高次側枝まで出現している個体ほど多く, 側枝の発育が葉面積の増加を通して物質生産に貢献することが示唆された.ピニョン及びシーラゴム各2個体を観察したが, 何れも主茎頂端に果実が登熟中で, その直下に2〜数本の側枝が発育中であり, 茎頂端の花成が先端数節の側枝の発育を誘起したことが明らかであった.ヒマ, キャッサバ, シーラゴムでは発育する側枝が2〜3本であったが, ピニョンでは5本以上であった.これら作物の側枝の発育は, 花成の問題と関連して考えるべきことが示唆された.
- 日本熱帯農業学会の論文
- 1994-09-01
著者
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