ケニャ共和国ムエア地区水田Vertisolの性質と稲作における土壌養分管理
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概要
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ケニャ共和国ムエア地区灌漑水田における効果的な土壌養分管理法策定に資するため, 地域内の土壌(Vertisol)の理化学的特性を調査した.モンモリロナイトを主体とする暗色粘土層からなる土壌層は, 0.8〜1.8mと深く基本的には集約的灌漑稲作に適していると判断された.AC層では, 構造の変化以外には層位分化はあまり認められない.炭酸塩結核が, 深い層では全圃場で, いくつかの圃場では浅い層にまで認められた.土壌の化学的肥沃度は比較的高いと評価された.しかし, カリ供給は, 土壌分析と水稲体内濃度から, 圃場によっては低いと推定された.窒素の可給度はVertisolとしては比較的高いと思われたが, 高収量水準(5t・ha^<-1>以上)の水稲生産には, 効率的な窒素施用が不可欠であると考えられた.圃場間の収量性のバラツキの一因は, 地形的位置に関係しており, 低収量圃場は周囲より低い位置あるいは水路に近接してあることが多い.これらの圃場では, 休閑期の排水不良に起因する, 土壌還元や表層への塩基集積により, 根活性が阻害されている可能性がある.物理的な側面では, 重粘土質のため湛水時の地耐力の低下が問題となる.このため乾田耕起の導入が試されている.今後, 稲わらや畑作物残渣など有機物の土壌への投入による, 乾田時の耕起性の改善効果が, カリなど養分の土壌の供給力維持効果とともに検証されることが期待される.
- 日本熱帯農業学会の論文
- 2001-06-01
著者
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