マクロファージでのコレステロールエステルの蓄積過程におけるリン脂質代謝の役割
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概要
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粥状動脈硬化症は,動脈の肥厚や脂質沈着に伴う血管機能の低下を主徴とする病変であり,狭心症や心筋梗塞などの急性冠症候群を引き起こす主因と考えられている.その発症や増悪化に関与する因子として,高脂血症に伴い血管内皮下で増大する低密度リポタンパク質(LDL),特に,その酸化成績体(酸化LDL)が知られている.酸化LDLは,血管内皮細胞,マクロファージ,血管平滑筋細胞などにおいて様々な細胞応答を誘起することで,粥状動脈硬化症の発症や進展に関与しており,その内,マクロファージの酸化LDLの貧食に伴う泡沫化は,初期病変の1つである血管内皮下での脂質の沈着を招く.このマクロファージの泡沫化は,細胞内でのコレステロールエステルの生成・蓄積に起因することから,コレステロールエステルの産生経路を解明することは,粥状動脈硬化症の進展過程を理解する上で意義があると考える.本稿では,このコレステロールエステルの生成過程に関して,リン脂質代謝,特に,リン脂質代謝酵素であるホスホリパーゼA_2(PLA_2)との関連性に焦点を当て,筆者の研究室で得られた知見を交えて概説したい.
- 公益社団法人日本薬学会の論文
- 2003-10-01
著者
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