オビカレハ若齢幼虫の生存と発育に対する集団サイズの効果およびその自然個体群における作用
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概要
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オビカレハふ化幼虫を個体または小集団で飼育すると生存率の低下, 発育遅延, 脱皮回数の増加などが見られた.また2齢幼虫についても1, 2個体飼育では生存率の低下と成長量の減少が認められた.これらは幼虫の食いつきが不良であることによると考えられたが, 初齢幼虫でも5個体以上の集団では生存率は安定して高かった.一方野外では, 25個体以下の集団では生存率はきわめて低く, しばしばクモによる捕食が重要な影響を及ぼしたが50個体以上の集団では, 捕食は重要ではなかった.野外実験および自然個体群の初齢幼虫集団サイズと生存率の関係からは, ほぼ200個体以上の集団を形成して初めて生存率は高く保たれた.この集団サイズは巣網, silk trailなどの形成にかかわり, 保護効果のほか採餌の効率や幼虫ふ化時の新芽の利用と関係するものと考えられる.自然個体群でもふ化幼虫集団サイズは, しばしばこの値を下まわり, 若齢幼虫の集団の大きさがその生存率変動にかなり関与しているものと考えられた.特に卵寄生蜂の寄生率変動はこの生存過程と間接的に密接な関係を持ちうる.
- 日本昆虫学会の論文
- 1976-12-25
著者
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