キイロショウジョウバエの温度適応性
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概要
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年間の気温状態の異なる2地域, 安養(韓国)と石垣島の自然集団から採集し, 約1年間25℃の一定温度環境で飼育されたDrosophila melanogaster(キイロショウジョウバエ)の両実験集団を用いていろいろな恒温環境における発育期間と生存率, さらにいろいろな温度で発育羽化した成虫の低温(5℃)における寿命を調べ, 両集団の温度適応性を比較した.両集団とも平均発育期間(卵から成虫羽化までの日数)は25℃でもっとも短く, 温度が低くなるにしたがって長くなった.しかし, 両集団および両集団間の交雑集団の間には差異は認められなかった.生存率(卵数に対する羽化成虫数の割合)は一般に安養集団の方が石垣島集団よりも高くなった.しかし, 安養集団は15℃, 石垣集団は18℃で生存率は最高となり, またその変異係数は最小となった.低温(5℃)における成虫の寿命は発育温度によって変化し, 低い温度で発育した成虫ほど寿命は長くなった.また雄の寿命は雌よりも長くなった.安養集団と石垣島集団の平均寿命には有意差があり, 前者は後者よりも5℃での成虫の寿命は長かった.また交雑F_1は両集団の中間値を示し, 低温環境における寿命は量的形質であると考えられた.上記のように, 異なる気温環境に生棲していた両集団の温度適応性には明らかな違いが認められた.
- 1976-12-25
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