アシナガオトシブミ Phialodes rufipennis ROELOFS の産卵習性竝びに搖籃の構造
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概要
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1. 私達はアシナガオトシブミPhialodes rufipennis ROELOFSの1♀の産卵習性を只1例ではあるが、中途から觀察した。2. 觀察例が本種の常態であるか否かは判らないから、參考標本によつて搖籃の製作法竝びに構造の一般型を見出さうとした。3. 截斷線は所謂兩截型で、緩かな凹弧を畫き、中肋となす角度は70-90°のものが多く、線の形及び角度は左右異なつても大體中肋上同一點に會せしめられる。4. 支持部表面中肋上の截斷線會合點より少しく基方に噛み傷を入れて葉を萎れさせる。5. 截斷線及び中肋上の噛み傷を入れる順序は判らない。6. 次に葉をため、材料部裏面中肋上に密接せる噛み傷を入れる。この傷は後に葉を巻く時に仕事を容易ならしめるものらしい。7. 之れが終ると暫く他葉に移つて休養(?)竝びに食事を攝り、此間に葉の搖籃材料部は萎れて葉を折つて巻く仕事が容易く行はれる。母蟲のこの行動は種々の場合に應じて變するものであらう。8. 或る時間後、元の葉に戻り得る。それの指向性は明かでない。或る場合には搖搖製作央ばで放棄する結果となることもあらう。9. 次に葉を二つに折つて、葉の表面を内側にして巻き、且つ産卵し、更に巻きあげて搖籃を完成する。10. 材料部の右半を左半の上に折り重ねて右巻にするのと、左半を右半の上に重ねて左巻にするのとは略々同數にある。11. 用ひられる葉の大きさ、特に長さは一定しないらしい。併し、材料部の長さは略々定まつてゐるらしく、完成された搖籃は大體7mm.の底徑と10mm.前後の長徑を有する。
- 日本昆虫学会の論文
- 1929-10-25
著者
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