モモアカアブラムシの"タバコ型"は存在するか
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概要
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1978∿'85年に, 全国13地域で, タバコおよびジャガイモ, アブラナ科野菜などからサンプリングしたモモアカアブラムシを, 体色と電気泳動法によって検出されるエステラーゼ・パターンに基づいた型(以下CE型と略記)に類別し, タバコには遺伝的に特異な型が寄生するか, を検証した.タバコからは25種類のCE型が発見された.このうち9型はタバコ以外の植物からは発見されなかった(実験ほ場は除く).大発生時に調査した山形での例を除き, CE型構成はタバコと他種植物との間で明らかな差異が見られた.実験ほ場(京都, 1979∿'81年)のタバコからは, 7種類のCE型が発見されたが, その周辺に栽植されていたジャガイモ, ダイコン, ソラマメなどで優占的なF16, 18, 26の3型は, 1例を除き, 発見できなかった.交互植したタバコとジャガイモ上のCE型構成は, 明らかに異質であった.キャベツ起源のクローン(3種類のCE型に属する)は, いずれもタバコでは, ほとんど生存できなかった.これらの結果から, タバコには一部の限られた型しか寄生できないと結論した.タバコからサンプリングした, 山形産の一部のクローンは完全生活環型であったが, ほかの供試クローンはすべて非完全生活環型であった.タバコにおける季節的発生消長や集合の度合いは, アブラナ科野菜など他種植物上とは異なり, 夏期にも密度が高く, 発生のピーク時には個体が互いに接触するほど密なコロニーを形成した.
- 日本昆虫学会の論文
- 1987-12-25
著者
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