ナシチビガ個体群の生態学的研究 : I. 第 1, 2 世代の生命表
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概要
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ナシチビガの第1, 2世代を対象に生命表に関する調査を行い次の結果を得た.1. 無防除園では第1, 2世代とも発育初期(卵, 潜葉幼虫期)の死亡率は低く, 脱出幼虫期には高くなるが, 蛹期では再び低くなった.そして生存曲線の型はともにDEEVEY (1947)の「I型」に近かった.2. 慣行防除園の第1世代では全般に死亡率は高く, 特に初期死亡が大きく生存曲線の型はDEEVEYの「II型」に近かった.しかし, 第2世代では初期死亡は小さく, 生存曲線の型は無防除園の場合と似ていた.3. 寄生による死亡は潜葉幼虫と蛹で認められたが, 卵と脱出幼虫では認められなかった.捕食者としては脱出幼虫ではクモ類, 蛹ではテントウムシ類, クモ類が確認された.また, 蛹では糸状菌病が認められた.慣行防除園においては卵, 幼虫の多くは殺虫剤によって死亡した.4. VARLEY and GRADWELL (1960)の方法にしたがって基本要因分析を行った.無防除園, 慣行防除園の第1, 2世代とも変動主要因は脱出幼虫期に存在した.また, 慣行防除園の第1世代では潜葉幼虫期に, 無防除園の第1, 2世代では蛹期にも変動主要因は存在した.そして, その要因は無防除園では捕食, 慣行防除園では殺虫剤による死亡と推定された.5. 複雑な発育過程を持つ本種の死亡過程について, 生存曲線の型から議論を行った.
- 1978-09-25
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