モンシロチョウ幼虫の被寄生・未寄生状態を区別するアオムシコマユバチの能力について
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概要
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モンシロチョウ幼虫に対するアオムシコマユバチの重複産卵実験により, このハチに被寄生寄主を識別する能力があるかどうかを調べた.1. 羽化後3∿4日目の既交尾雌を用い, 2令初期幼虫に第1回目の寄生を行なったのち, 3.5±0.5日目に羽化後3日目の既交尾雌を用い, 第2回目の寄生を行なった.第2回寄生時には被寄生寄主は2令後期に達し, 第1回産下卵の胚子は完成または孵化している.寄主の飼育温度は17∿19℃である.2. 重複産卵実験に用いたモンシロチョウ幼虫の個体数は44匹であり, 寄主1個体当りの第1回産下卵数平均は19.2卵, 第2回目のそれは10.0卵であった.第2回産卵実験の対照として用いた幼虫(2令後期未寄生幼虫)の個体数は31匹であり, 産下卵数平均は23.5卵であった(表1).重複産卵実験を行なった幼虫について, 第1回と第2回産下卵数の有意差検定をWILCOXONの符号順位検定法により行なったところ, 第2回目の産下卵数は第1回目のそれよりも有意に少ないことがわかった(P<0.001, Z=3.535)(図1A).3. 未寄生の2令初期と後期幼虫への産下卵数には有意差は認められなかった(P>0.01, t=1.53 : t-検定).4. 重複産卵実験における第1回産下卵数と第2回のそれとの間の相関をKENDALLの順位相関係数により吟味したところ, その値(τ=-0.138)には有意性は認められなかった.
- 1974-09-25
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