東京湾における堆積物 : 海水間のリンの挙動
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概要
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東京湾における堆積物-海水間でのリンの挙動を解明するために,冬季(2000年12月)及び秋季(2001年9月)の2回の現場観測と室内実験を実施した。12月には堆積物表面に酸化層が発達し,この層には吸着態及び鉄結合態のリンが蓄積していた。9月においては堆積物が強い還元状態にあり,表層部にリンの蓄積はなかった。室内実験において,酸化還元電位(Eh)が+300mV以上の酸化状態でリンの溶出が極度に抑制されていたが, 還元化が進行すると速やかに溶出することが実証された。また, pHの影響は小さく, 温度は還元状態時に溶出するリン酸態チンの平行濃度を制御していた。現場におけるリンのフラックスを見積もったところ, 9月においては堆積物からの拡散・溶出が著しく, 海底近傍の水質に大きな影響を及ぼしていることが示唆された。一方,12月の拡散フラックスは9月の1/10と極めて小さかった。堆積物へのリンの沈降フラックスに比べて埋積や拡散のフラックスは小さく, 水柱から沈降してきた粒子中のリンの多くが底層水中あるいは堆積物-海水境界層において分解再生していることが示唆された。
- 日本海洋学会の論文
- 2003-07-05
著者
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