生体中における超音波パルス伝搬の円筒座標を用いたFD-TD解析

概要

論文の詳細を見る
強力な超音波パルスを生体中の一点に向けて照射した場合、生体媒質の非線形効果も作用して強力な衝撃波が発生する。この衝撃波を利用して結石を破砕する方法、すな衝撃波結石破砕療法(ESWL)が、最近胆石や尿路結石の破砕療法として普及し始めてきた。ESWLでは、衝撃波を正確に結石に当てなければ人体組織を傷つける可能性がある。そこで、このような誤照射防止法の一つとして、結石が確実に焦点部に存在することを検知する目的で実際の衝撃波発射前にトリガパルスを発射する方式が開発されている。これまでESWL装置から発射されたトリガパルスの人体内伝搬を数値解析する研究が筆者等のグループによってなされてきたが、それらは2次元モデルでのFD-TD法による解析であった。しかし、実際は3次元構造であるためこの方法では定量的な意味で十分な精度が得られない可能性がある。本稿では、環状振動子が回転対称構造を持っていることに注目し、この構造の解析に適切である円筒座標のFD-TD法を用いて精度の高い解析を行った結果を示す。
社団法人電子情報通信学会の論文
1995-09-05