時間領域差分法

概要

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複雑な形状をした非常に大きな構造物による電磁波の散乱問題や多数の回路素子を含む光集積回路とかマイクロ波集積回路における波動場の解析の問題を計算機を利用して模擬するとき、高速で柔軟性に富む算法が必要不可欠である。この様な観点から、偏微分方程式の差分法による直接解法である時間領域差分法(FD-TD法)が注目されている。この手法はその算法の汎用性及び柔軟性に加えて、差分法の宿命である離散化に起因する算法の不安定性が時間領域の差分法であるため、因果律によって自動的に除去可能なこと、境界条件を算法に容易に組み込めること、更に領域分割による並列処理による算法の高速化が可能であること等に特長がある。欠点は、演算領域が無限空間となる問題を取り扱うとき、計算機の記憶容量及び計算に要する計算時間にあった。つまり、これは無限の計算領域をこれと等価な有限な領域に置き換えられるならば解決する問題である。このためには、仮想の境界からの不用な反射波を打ち消すための条件が必要である。これは吸収境界条件と呼ばれ、この条件の良否がFD-TD法の有用性に大きくかかわってくる。
社団法人電子情報通信学会の論文
1994-09-26