高周波電磁界解析のニーズと市販解析ソフトの現状
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概要
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解析シミュレーション(計算機実験)は機械、造船、建築、土木、自動車といった構造解析分野において大学研究から産業用まで一般的に利用され、CAEによる開発・設計手法として確固たる地位を築いている。しかし構造解析に比べ、電磁界解析についてはMaxwell方程式の理解の難しさ、現象の感覚的な捉えにくさ、電磁界モデルの複雑さ、更に大学での教育カリキュラムがほとんどない等の理由により、従来大学や企業研究機関によるリサーチが一部で行なわれているに過ぎなかった。電磁界解析には渦電流、電磁力、磁気飽和、異方性、ヒステリシス等の低周波問題からEMI/EMC、アンテナ等の高周波電磁波問題まで色々なタイプの解析が存在するが、低周波問題に於てはここ数年でかなりの研究が成され、既に国内外市販ソフトが数多く出現し、解析シミュレーションが実用段階に入ったと言える。例えば産業界においてはスーパーコンピュータによる電磁界解析システムを構築し回転機等の自動設計を行なっている国内電機メーカーの例が見られる。一方、高周波問題に関しては現象がより複雑であり、三次元解析では未知数が多く実用的な計算時間での解析が難しいことや、FEM(有限要素法)を用いた場合の特異解(スプリアス解)問題等の理由によりこれまで実用的なレベルには至っていなかった。しかしコンピュータハードウェアの長足な進歩と、特異解問題の詳細な研究により急速に高周波透磁界解析技術が発達してきており、有限要素法(FEM)、差分法(FDM)、境界要素法(BEM)等を用いた幾つか実用に耐えうる市販ソフトが現われて来ている。本報では、市販ソフトウェア開発の側から見た高周波電磁界解析ニーズと市販解析ソフトの現状を紹介する。
- 1994-09-26