四国における和泉層群の地すべりの特徴
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概要
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和泉層群の地すべりは, 降雨や切土等の施工の影響で発生するが, 明瞭な地すべり地形を示しながら比較的長期にわたって動きの認められない地すべりがある.不安定化した地すべり7事例と活動が停止している地すべり3事例を対象に, 不安定化要因について検討した結果, 和泉層群の地すべりが次のような特徴を有することを明らかにした.地すべりの安定性は, 主たるすべり面の傾斜(α)と地表平均傾斜(β)の両方の傾斜角が22〜26°を境界領域として, 「不安定化した地すべり」と「活動が停止している地すべり」に区分できるようである.地すべりは小断層, 層状破砕帯等の流れ盤の弱層をすべり面として発生したり, 受け盤構造での長期のクリープ変位を経て発生する.すべり面になるような弱層は, 構造運動の影響を強く受けた地域に発達することを反映して地すべりは中央構造線に近い地域で密に分布する.地すべりの集水域は狭く, 常時の地下水位はすべり面付近にあって低く地下水は豊富ではない.しかし開口亀裂に雨水が流入することにより, わずかな水量でも大きな間隙水圧がすべり面に作用して地すべりが活発化することが多い.
- 一般社団法人日本応用地質学会の論文
- 2000-12-10
著者
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