海洋における有機物の特性とその動態に関する研究(2003年度日本海洋学会賞受賞記念論文)
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概要
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懸濁態及び沈降粒子態有機物,金属に親和性を有する有機配粒子及び溶存態有機物に関するこれまでの研究を概観し,解明したこと,研究過程で生じた疑問,そして,これからなすべき事について論述した。懸濁態及び溶存態有機物のアミノ酸・タンパク質の研究から,海洋有機物プールには,生物が合成する高分子有機物がそれ程修飾されないまま残存・蓄積していることが判明した。しかし,海洋有機物プールを構成する有機物の多くは,低分子状態で存在していることも明らかになった。海洋有機物の99%以上は非生物態有機物である。何故,ある有機化合物は高分子状態のまま,ある有機化合物は低分子化した後,海洋有機物プールの構成員として残存・蓄積できるのか?ある時間スケール下では,海洋有機物プールの動態の変化やそれに伴うプールサイズの消長は,地球表層の物質循環に大きな影響を及ぼすだろう。海洋科学が目指す研究方向の1つとして,海洋有機物プールを構成する有機分子の化学的性質から,その謎を読み解き,海洋有機物プール動態や維持機構への理解を深める研究の必要性を提案した。
- 日本海洋学会の論文
- 2004-01-05
著者
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