2電極対水晶振動子を用いた温度補償水晶発振器
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概要
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一般に水晶発振器の発振周波数をシフトするには,水晶振動子の負荷容量を変化させる方法で行っている.水晶振動子の負荷容量と発振周波数の関係は非直線的であるから,周波数をシフトした場合その前後で負荷容量に対する周波数の変化率はわずかではあるが異なったものとなる.そのためTCXOやVCTCXO等で経年変化等による発振周波数の変化を補正した場合や発振周波数をシフトした場合には,温度補償回路で設定した周波数の補償量は,補正またはシフトの前後により異なったものとなり,周波数温度特性は変化する.そこで,筆者はこの問題を解決するため特殊な2電極対構造の水晶振動子を開発した.この水晶振動子は二つの独立した負荷容量をもつもので,温度特性の補償と発振周波数のシフトを独立に行うことができ,一つの負荷容量しかもたない従来の水晶振動子では不可能であった「TCXOで,発振周波数をシフトすると温度特性が変化する」等の問題を解決した.本論文では,この2電極対水晶振動子を用いたTCXOにおいて,発振周波数を±15ppmシフトした場合の周波数温度特性の変化を測定し,従来の水晶振動子を用いたTCXOとの性能を比較し,2電極対水晶振動子を用いたTCXOでは,発振周波数をシフトしても周波数温度特性の変化が極めて僅少であることを明らかにした.
- 1994-04-25