異常値を含んだカオス時系列データの予測手法
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概要
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カオス的特徴をもつ時系列データに対する短期予測手法の研究が近年活発である.カオス時系列データの予測は,1変数の時系列データから多次元空間上にアトラクタの軌道を再構成し,この軌道の推移を多項式近似するなどの方法により行われているが,時系列データに異常値などのノイズが含まれていると予測誤差が大幅に拡大する.本論文では,この問題解決を図るため,異常値にロバストな予測手法を提案する.具体的には従来手法に対し,(1)多項式の係数をBiweight推定法により算出,(2)多項式の次数を残差を見ながら自動的に選択,(3)予測誤差の大きいデータを予測値で置換え次の予測を実施,の3方式を適用する.Henon mapおよびLorenz modelから生成されるカオス時系列データに,コーシー分布の擬似乱数を加えたデータを用いて評価実験を行った結果,本手法は異常値に伴う予測誤差の拡大を十分抑えることができ,従来手法に比べ大幅に予測精度を向上できることを確認した.
- 社団法人電子情報通信学会の論文
- 1994-11-25