カオス時系列データの予測精度向上手法
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
カオス時系列データに対する予測手法の研究が近年活発である. カオス時系列データの予測は, 1変数の時系列データから多次元空間上にアトラクタの軌道を再構成し, この軌道上のある点の将来値を, その近傍点の動きをもとに最小2乗法により推定するなどの方法により行われている. この方法においては, 予測精度は近傍点の数に大きく依存するため, 近傍点の数をいくつに設定するかが重要な問題である. 従来は試行錯誤的にその最適値を求める必要があった. 本論文では, この問題解決を図るため, 近傍点の数にロバストな予測手法を提案する. すなわち, 近傍点との距離に応じて最小2乗法の重み付けを行う方法を実現し, これに基づくプログラムを作成した. Henon mapおよびIkeda mapから生成されるカオス時系列データを用いて評価実験を行った結果, 本手法は, 近傍点の数にあまり依存しない予測値を得ることができ, かつ従来手法に比べ予測精度を向上できることを確認した.
- 社団法人電子情報通信学会の論文
- 1997-06-25