下顎運動と舌運動の同期解析法の試み : 健常成人における構音動態の観察

概要

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構音動態解析システムを新たに構築し, 個性正常咬合を有する健常成人8名を対象として, 被験音 / asa / , / ata / , aka / , ara / における子音産生時の構音動態を多角的に解析し, 以下のような結果を得た。1.本システムは, 構音時における下顎運動と舌運動の同期解析が可能であり, 有効な再現性が得られた。 2.構音時の下顎位は, 〔sa〕が最上前方に位置し, 〔ta〕, 〔ka〕, 〔ra〕の順でより後方および下方に位置していた。 3.子音産生時のEPG所見は, 〔sa〕では接触範囲が広いパターンと, 狭いパターンがみられた。〔ra〕では, L型とR型のパターンが見られた。〔ta〕では, 最大接触時において, 接触範囲が広いパターンと, 狭いパターンが見られ被験者間で異なっていた。 4.構音動態には被験者間における個人差がみられ, また同一被験者においても下顎位と舌接触のタイミングが異なっていた。以上の結果から, 今回新たに構築したシステムを用いて, 健常成人における音声と同期した構音時の下顎位と舌接触パターンを明らかにすることができた。
社団法人電子情報通信学会の論文
2000-03-09