確率過程の幾何構造と話者適応
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概要
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本報告をしたくなったわけは、音声の個人性は「とびとびなもの」であろうという筆者の思いが強まったためである。この「とびとびなもの」という音声の性質をうまく利用すると、音声の個人差の操作、吸収、制御など、いわゆる「音声モルフィングの実在」がゆたかなものになる。上の思いをもう少し正確に言っておこう。音声の離散性と不確定性に関する予想:音声には、「ある種の離散的な性質」の部分と「不確定性をあらわす」部分との2つの面がある。前者の「離散性」は音声の個人性ないしは個体差の孤立性と関わりを持つ。つまり音声の個体差は「その数に限りがあり離散的(とびとびなもの)」である。後者の「不確定性」は音声の自然性と関わりをもつ。ここでの自然性とは、「世の中にはこのような声を出す人がいるだろうな」という「夢想」の強さに対応した心理的尺度である。この予想は、音韻性に関するひとつの仮定を置いた場合、つまりある種の協界条件を固定した時には、微分方程式の解のふるまいを調べることによって、定理の形で示すことができる。この定理に開連して有用なのは、音声モルフィングへの応用である。上の音声の2つの性質:個人差の離散性および不確定性を指針とすることによって、音声の個体差の操作や制御など、実際に音を出すための方法の選択枝が増えて、自然性に関する思い入れも深まる。
- 1997-05-22
著者
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