マイクロ波回路設計におけるシミュレータ利用の課題
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概要
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最近, 携帯電話やPHSなどの移動体通信機器や衛星放送受信機などのマイクロ波と呼ばれる高周波を利用した製品がわれわれの身近に使われるようになってきた。その一方でそれらの製品の開発・設計に対してはますます低コストと短期間での開発が要求されるようになってきている。このため, 回路シミュレーションなどのコンピュータによる設計支援(CAD)技術の重要性が増大しているといえる。マイクロ波回路の設計では, 高周波のアナログ回路の特徴が設計を難しくしていると言える。つまり高周波回路としての分布定数効果を常に考慮する必要があり, 寄生容量や寄生インダクタンスが配線等のレイアウトの高周波特性に大きく影響を及ぼす。また, アナログ回路の特質として使用している部品の特性ばらつきに回路の特性が大きく影響して変動する。さらにマイクロ波帯の周波数で所望の特性を確保するためには, 使用する部品の特性を最大限に引き出す設計とすることが必要で, 余裕を持った設計を採用しにくいという問題もある。したがって, 設計にはコンピュータによる特性のシミュレーションが不可欠となっている。本稿では, マイクロ波回路の設計におけるシミュレータなどの利用の課題について考えてみる。
- 1997-03-06