パーソナル通信サービスとシステムの動向
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概要
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パーソナル通信は、マルチメディアと共に今後の通信サービスの中で発展が最も期待されている分野である。本稿ではその展開形態、方式構成、サービス展開等についてその動向について述べる。パーソナル通信の概念は、人、更にはその人の個性に着目した通信であり、「いつでも」、「どこでも、だれとでも」に加え「どんなメディアでも」、「自分の好きなように」通信できることと言えよう。概念としては有線・無線の統合概念だが、具体的な展開はワイヤレス移動電話が最も重要となりかつ市場も大きい。システムの導入展開は大きく分けセルラー(自動車・携帯電話)をベースにした展開とコードレスをベースとした展開に分けられる。これらはそれぞれの特徴を活かした展開となっている。95年12月の日本でのセルラーの加入数は748万でこの1年で倍増し、人口比率で6%を超え先進国の仲間入をした。欧州は日本の約2倍で、米国は4倍の加入数があり各国とも急増している。更に、現在はアナログからディジタルへ移行しており、欧州標準のGSM/DSC、日本のPDC、米国のIS-51が3大市場を形成している。特に、GSM系は国際ローミングニーズに応え実質世界標準となっおり、95年末で1100万加入を超えている。これらの成長はハード面の進歩とともに、事業者間の競争によるサービスの向上によるところが大である。また全体の9割り近くが携帯電話のニーズとなっていることも特徴的である。一方、コードレスは既存網のインテリジェント機能を利用しつつ経済的なサービスを提供するものである。本来の自営(家庭、事業所)でのサービスのみならず、公衆系のサービスの提供等多様化している。特にPHSは本格的双方向かつ家庭、事業所、公衆の3つの応用を考慮した経済的で小型長時間使用可能な携帯電話としてその動向が期待されている。95年末で50万加入、96年には200万加入の予測もあり、今後のサービスの展開次第で大きく伸びると考えられる。PHSを始めとするコードレス系の特徴としてモデム、ベアラ共により高速な伝送をサポートできることが特徴であり、それを活かしたサービスの出現が期待される。セルラー、コードレス双方ともそれぞれの特徴を生かし、競争しつつ発展するこ考えられる。GSMは現在フェーズ2+として無線パケットの機能を標準化するとともにベアラ系の検討も進められている。欧州ではGSM(屋外)+DECT(屋内)=PCNとして両者をインフラのベースとして考えている。アジアではGSMが中心としつつ、PDCやCDMA等多様性がある。PHSはアジアで採用されつつあり、特に公衆系にどう入るかが今後の鍵となる。米国では、新たに1.9GHz帯の120MHzをオークションにかけ、新しい事業の獲得の競争に入った。これらの複数のシステムに対応するためローミング機能、デュアルモード端末等の早期実現が望まれる。今後の展開として課金サービスの多様化・柔軟性、さらに、国内のみならず国際通信でのマルチキャリアを考慮した、ローミングの高度化及びマルチメディアに対応した非電話系の展開が重要となる。次世代に向けては欧州のコンセプト主導、米国のマーケット主導、日本の技術主導のそれぞれのアプローチの違いをどう調和させていくかが課題である。
- 社団法人電子情報通信学会の論文
- 1996-03-11
著者
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