再利用可能知識ベース構築の試み : 1次変電所の事故時復旧手順自動生成への適用

概要

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従来のエキスパートシステム(以後ES)の多くは,特定の問題解決を対象にして構築されたため,知識の共有/再利用が困難である.これは,ES構築の効率化を阻害する大きな原因となっている.ESの実用化が進行し,その実用性が社会に認識されている現在では,知識共有/再利用に関する研究は重要な意味をもっている.筆者らは,1次変電所の事故時復旧支援を対象にして,再利用可能知識ベースの構築を試みた.本論文では,まず,従来の変電所復旧支援ESの実例に対する分析を行い,その知識が特定の変電所に固有なものとなっており,そのまま再利用できないことを明らかにした.次に,再利用可能知識ベース構築の方法論を論じ,その方法論に基づく1次変電所の事故時復旧手順生成のための再利用可能知識ベース構築の過程について詳述する.専門家の問題解決知識を分析し,対象モデル,汎用ルール,特定の変電所に固有な知識の3種類に分類した.最後に,再利用可能知識ベースに基づく一次変電所の事故時復旧手順生成システムについて述べる.二つの変電所の10事故ケースのデータを使用したテストによって,専門家と同じ操作票を生成することができることが確認された.
社団法人電子情報通信学会の論文
1994-05-25