独立的自己と相互依存的自己に関する8歳児女子の日独比較
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概要
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本研究は, 独立的自己と相互依存的自己という自己概念の構造に関して日独問にどのような文化差が見られるかを, 女子8歳児(日本:N=20;ドイツ:N=30)との個別面接を通じて明らかにしようとした。面接は, 自己, 親友, 教師の3者それぞれについての記述と, 自己と重要な他者(親友, 教師)との比較, 同一化について行われた。結果として見られた文化差は以下の通りであった:l)自己記述, 他者記述のいずれにおいても, 目本人児童はドイツ人児童よりも関係志向的発言の比率が高く, ドイツ人児童の発言は目本人児童に比ベ, より個人志向的傾向が強かった。2)教師との比較において, 日本人児童の方が自己との共通点を強調する傾向がドイツ人児童よりも強かった。この文化差は親友との比較に関しては見られなかった。3)ドイツ人児童の方が, 他者との同一化に対して, 日本人児童に比ベ, より否定的な態度を示した。これらの結果は, 日本人児童がより相互依存的自己を, ドイツ人児童はより独立的自己を有するという仮説を支持するものであった。目独それぞれの文化的意味体系における他者概念の対象特殊性および各指標の心理社会的意味に関し, より多次元的な研究を進める必要性が指摘された。
- 日本発達心理学会の論文
- 1998-07-30
著者
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