幼児における日本語表記体系の理解 : 読字数との関連
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概要
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本研究は, 知識領域としての日本語表記体系(ひらがな・カタカナ・漢字・数字)について, 幼児の理解を検討したものである。表記体系についての知識には, 指示伝達の機能に関する側面と, 知覚的形式的特徴に関する側面とがあると考えられる。これらのうち, 本研究では形式的側面を, 読字数との関連において検討した。実験Iでは, 幼碓園年長児・年中児各20名を対象に, 4体系毎に各表記体系の負事例を選択する分類課題を実施した結果, 次の4点が明らかになった。第1に, 日本の子どもは知識領域として4表記体系を区別していた。第2に, 表記体系についての知識は, 加齢と共に現実の大人の理解に近づくという発達的変化が見られた。第3に, 4体系の読字数合計と表記体系についての知識の発達とは関連をもっていた。第4に, 特定の体系の読字数が多いほど, その表記体系についての知識も発達しているというような単純な対応関係はないが, 体系によって知識発達の程度が異なった。実験lでは幼稚園年長児・年中児各36名を3条件に分け, 3分の2の被験児に, 分類課題の前に表記体系についての知識の発達を促す訓練を実施した。その結果, 読字数の増加が先行し, それを基礎にして表記体系についての知識が発達するような因果関係が存在することが示唆された。
- 日本発達心理学会の論文
- 1997-10-30
著者
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