小学生は高さをどのようにとらえているのか : 「日常的経験から得た高さ」と「平面図形における三角形の高さ」との関連
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概要
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本研究の目的は, 図形の属性である高さを取り上げて, 算数の授業で「三角形の高さ」を教授される以前の子どもたちが, どのような高さの概念を表象しているかを調査し, この教授前から表象されている高さの概念と, 教授される三角形の高さの概念との関連性を検討することである。課題には, 日常物の「本」と平面図形の「三角形」を敢り上げ, 小学1年生から6年生の272名の子どもたちに対して, 高さを考える際の理由づけが求められた。その結果, a) 三角形の高さ」を未習の1〜4年生については, 高さの概念は, 目常生活における白然物 (木, 山等) や人工物 (ピル, 東京タワー等) と結びつけられていること, b) 高さの表現方略は, 「高さは高い所の一点で示される」という考えから, 「高さは基準線からの重直方向で示される」という考えへと, 学年進行に伴って変化がみられること, c) 三角形の高さを学習した直後の5年生の約半数は, 日常的経験から得られた高さの概念と, 教授された三角形の高さの概念を互いに関連づけられない状態にあること, この状態が続き6年生になると, 後者の概念が前考の概念に取り込まれる可能性があることが示唆された。
- 日本発達心理学会の論文
- 2000-10-20
著者
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