発達障害児の療育形態とセラピストの伝達・応答行動の関係性
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概要
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本研究の目的は, 同一の発達障害児に対して行う個別形態, 集団形態の遊戯療法において, 個々のセラピストが伝達・応答行動をどのように調整しているのかについて検討することであった。発達障害を有する3名のクライエントとそのセラピストの個別, 集団セラピー各々20分間における発話・行動を文字転写し, 5カテゴリー, 11項日に分類した。そして, それらの発話総数に対する出現率 (発話率) について, セラピー形態との関連性から分析した。その結果, 1) 集団セラピーよりも個別セラピーにおいて, セラピストの発話数が多いこと ; 2) 個別では, クライエントの発話を明確化したり, 遊びのモデルを示すなどの発話が多いが, 集団では, 場の状況をクライエントに説明するための発話が多いこと; 3) 個別で, 言語能力の低いクライエントに対して平叙形のリフレクションを主に用いたセラピストが, 集団になると疑問形のリフレクションをより多く用いるようになる一方, 個別で言語能力の高いクライエントに対して疑問形のリフレクションを多く用いたセラピストが, 棄団になるとそれを用いなくなること; 4) 個別ではYes/No質聞が多用される一方, 集団ではWh質問が多く用いられること, が明らかとなった。これらの結果は, セラピーの形態とセラピストの集団活動志向性との関連から考察された。
- 2000-10-20
著者
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