老年期における余暇活動の型と生活満足度・心理社会的発達の関連
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
老年期の余暇活動の型と生活満足度や心理社会的発達との関係を検討した。l与7分更群 (精神的活動あるいは文科系活動 : N=88) と登山群 (身体的活動あるいは体育系活動 : N=88) , さらに, コントロール群 (自分史を書いたこともなく登山にも参加しなかった在宅老人 : N=62) を被験者にして, サクセスフル・エイジングの指標である`生活満足度 (LSI) 'と`エリクソン心理社会的段階目録検査 (EPSI)' を施行した。この調査でわかったことは, 次の通りである。(1) LSIとEPSIの総得点・下位尺度全てにおいて自分史群が他の2群より平均値が高く数項目において有意差が見られたが, 登山群とコントロール群間ではどの項目においても有意差が認められなかった。(2) 生活満足度と心理社会的発達課題との関係については, 3群とも心理社会的発達課題のどの項目も中程度にバランスよく生活満足度と関連していたが, 信頼性や統合性といった項目にやや高い相関が見られた。生活満足度と心理社会的発達の関係において3群とも同じようなパターンを示しているにも関わらず, 生活満足度と心理社会的発達達成度において群差が生じたというこの結果は, 余暇活動の心理的効用の差 (個体の発達・創造性・自己表現を特性とする自分史群と楽しみ・気晴らしを特性とする登山群とコントロール群) によることを示唆している。
- 日本発達心理学会の論文
- 2000-06-30
著者
関連論文
- 自分史を書いた人の生活満足感と個体の発達
- 心理学的視点からみた自分史 : 語りとアイデンティティ
- 「書く」行為の心理的意味について : 人は書くことによって何を得るか
- 高齢期における回想機能の分類
- 職業経歴とライフ・イベント : 自分史を資料として
- 災害後の心理的変化と対処方法 : 阪神・淡路大震災6か月後の調査
- 老年期における余暇活動の型と生活満足度・心理社会的発達の関連