人工産卵場におけるイワナの産卵と産着卵のふ化
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概要
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1996年10月から1997年3月にかけて, 利根川水系鬼怒川の小支流において, イワナの人工産卵場の造成と産卵状況調査を行った。10月中旬に, 丸太, 石, 礫を材料に, 幅2m, 長さ6mと9mの産卵場を早瀬に1カ所ずつ造成した。造成の翌日から11月中旬にかけて, 人工産卵場と自然の産卵場でイワナの産卵行動が観察された。1月初旬に産卵場を掘り返し, 2カ所の人工産卵場で計51卵室と8101粒の卵, 10カ所の自然の産卵場で12卵室と2119粒の卵をそれぞれ確認した。発眼率の平均値は人工産卵場78.0%, 自然の産卵場60.1%で, 人工産卵場のほうが有意に高かった。3月中旬には人工産卵場, 自然の産卵場ともにふ化仔魚を確認した。以上の結果から, イワナの増殖に対して人工産卵場の造成は有効な手段のひとつになると考えられた。
- 公益社団法人日本水産学会の論文
- 1999-05-15