鬼怒川上流におけるイワナ, ヤマメの産卵床の立地条件の比較
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概要
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1991,1996年に利根川水系鬼怒川上流においてイワナとヤマメの産卵床の立地条件を調査した。産卵床の水深と底質は種間で差はなかった。しかし, ヤマメは淵尻や平瀬, 早瀬の流速の大きな順流部で産卵するのに対して, イワナはそのような場所だけでなく, 淵の岸寄りや淵・瀬の物陰の流速の小さな渦流部でも産卵しており, 流速, 河床形態の組成ともに種間で有意に異なっていた。淵脇や物陰でも産卵するというイワナの広い産卵場所選択性は, 河床勾配が急な源流域や支流における本種の個体群維持に重要な役割を果たしていると考えられる。また, イワナとヤマメの異なる産卵場所選択性は, 混生域における両種の共存を可能にしている要因のひとつになっていると考えられる。
- 公益社団法人日本水産学会の論文
- 1999-05-15