53. 巨核球環状ヌクレオチドの免疫組織化学的検出

概要

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cAMP及びcGMPの存在は, 血小板, その他多くの哺乳類の組織において報告されている。血小板におけるcAMPの役割は, 血小板浮遊血奬を用いて, 生化学的に研究されているが, cGMPの役割については, まだ不明確であり, 又, それらの局在についても, 血小板, 骨髄巨核球のどちらにおいても報告されていない。近年, 環状ヌクレオチドに対する抗体を用いて, ラジオイムノアッセイや蛍光抗体法が行なわれるようになっている。私達は, この蛍光抗体法を用いて, ラットの骨髄中の骨髄巨核球, 巨核芽球及び血小板でのcAMP及びcGMPの局在の証明を試みた。骨髄球では, 多くの細胞の細胞膜にcAMP蛍光がみられ, 巨核球及び巨核芽球では細胞質にcAMPが局在し, Prostaglandin E_1やテオフィリンで著明に蛍光が増強された。cGMPもcAMPと同様に細胞質に局在し, NaN_3を加えるとcGMP蛍光は増強した。血小板が生成される時期には, 巨核球内の血小板に環状ヌクレオチド蛍光がみられ, むしろ巨核球細胞質のcAMP蛍光は減弱するのが観察された。以上の成績は, 血小板巨核球内の環状ヌクレオチドの局在を証明し, その生成分解系の存在を示唆するものと考えられる。
日本組織細胞化学会の論文
1978-11-01