15. 鼻粘膜の自律神経支配
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概要
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手術時に採取したヒト下鼻甲介粘膜をもちいて自律神経の分布を形態学的に研究した。方法はアセチルコリンエステラーゼ(AChE)活性の組織化学的証明, カテコラミン螢光および電子顕微鏡によった。カテコラミン螢光神経線維は動脈の外膜・毛細管および海綿静脈洞周囲に密に分布していた。AChE活性線維は動脈・毛細管周囲には密であったが, 海綿静脈洞周囲には少い。また鼻腺については, カテコラミン螢光線維は腺葉を大きく取囲むように分布しているが, 腺細胞自体へ接するのは存在するがやや稀であった。これに対してAChE活性線維は腺葉間にも侵入し, 腺細胞間にも侵入し接していた。電子顕微鏡でとくに過マンガン酸カリ固定による標本では鼻粘膜の各所にシナプス小胞を含む無髄線維が観察される。シナプス小胞は小含粒小胞と無顆粒小胞の2種があり, 1つのシュワン細胞に包まれている部分ではほぼ1 : 1の割合で存在するようにみえる。無顆粒小胞をもった終末は腺細胞に接合している状態が確認された。このほか粘膜上皮下にAChE活性線維を主とする神経網が存在し, カテコラミン螢光線維も散在していた。
- 日本組織細胞化学会の論文
- 1978-11-01
著者
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