43. ヒト内耳におけるlysosome, lipofuscinの微細構造
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概要
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ヒト内耳膜迷路の手術時採取標本を電子顕微鏡により観察し, とくにlysosome, lypofuscinなどのinclusionsについて観察した。年令は36才から90才, 疾患は, メニエール病, 内耳性のめまい, 聴神経腫瘍, 耳癌なとである。lysosomeはとくに血管条, 感覚有毛細胞に多くみられ, すでに電子密度の高い脂質滴を有している。またヒトの内耳は禍牛・前庭感覚細胞や, 支持細胞, 感覚上皮周辺の上皮細胞中に電子密度の高い不正形のinclusionsが存在する。このinclusionには電子密度の異なった種々のサイズの脂質と顆粒状の物質がある。後者はlysosomeの内部にみられる物質に似ている。これらのinclusionsはlipofuscinであり, 目家螢光, 酸ホスファターゼ活性, PAS染色, Schmorl試験からも明らかである。内耳膜迷路の支持細胞のlipofuscinはとくに内腔が拡大する, 特徴を示すものがある。こゝにはメラノソームの破片などもみられる。これらlipofuscinは内リンパ腔に面した自由表面に排出されるものも多い。ヒト内耳に何故このようにlipofuscinが多いかは, 感覚系の細胞として世代交代がないことと, 内耳の代謝上の特性によるものと考えられる。
- 1977-10-20
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