シリアンハムスターの精巣重量に見られるストレス耐性の光周期操作による季節性
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本実験は,異なる過去の光周期経験を持つ2群のシリアンハムスターを中世的な日長に移行し,そこで餌剥奪によるストレスを与えたときの効果を精巣発達で調べた。長日群(LP)はLD16:8,LD14:10,短日群(SP)はLD8:16,LD10:14の光周期環境を各4週間経験させられた。その後,すべての動物はLD12.5:11.5の環境に12週暴露された。この移行時より12週にわたり実験日の25%のランダム剥奪と4日に1回の規則的剥奪を行うことによるストレスを導入した。その結果,LP群の動物の精巣発達はSP郡に比べ,著しく抑制された。剥奪の効果は,両群のランダム剥奪において,大きかったが,特にLP群において顕著であった。これらの結果は,過去の光周期経験により,中世的な光周期とは異なる作用を精巣発達に及ぼすことを示した。重要なことは,春分への移行を模したSP群と,秋分への移行を模したLP群とを比較した場合,剥奪の効果が大きく異なり,SP群ではランダム剥奪と規則剥奪の間に有意差はなく,LP群では大きな差が見られたことである。これらの結果から,ストレス耐性は季節により変動し、春繁殖動物では春・夏で強く、秋・冬で弱いと言える。本実験は人の季節性感情障害など臨床とその機構の解明に基礎データを提供するものである。
- 2002-12-25
著者
関連論文
- 脳下垂体摘出がストレス耐性に与える効果 : シリアンハムスターの精巣・体重発達を指標として
- シリアンハムスターの精巣重量に見られるストレス耐性の光周期操作による季節性
- O-1A-1 シリアンハムスターのストレス耐性に見られる季節性(日本動物心理学会第61回大会発表要旨)
- PB06 雄マウスの養育行動に及ぼすプロラクチンの効果(日本動物心理学会第55回大会発表要旨)
- B-II-6 シリアハムスターの冬眠誘発要因の分析(日本動物心理学会第53回大会発表要旨)
- 児童の発達に関する調査研究 : その10役割取得能力と社会性
- 児童の発達に関する調査研究 : その9空間表象能力II
- 児童の発達に関する調査研究 : その8同心図形錯視
- 児童の発達に関する調査研究 : その3 Junior Eysenck Personality Questionnaire
- シリアンハムスターの精巣・体重発達に関わる光周環境と餌・居住・性の条件
- 理系学問と文系学問のはざまで : 文理融合ということ
- 哺乳類の光周性
- 冬眠研究の最近の話題 : 睡眠ホメオスタシス仮説の展開
- O-E-2 シリアンハムスターの冬眠に影響する発達要因(日本動物心理学会第60回大会発表要旨)
- 巻頭言
- 老齢シリアンハムスターは大人や若齢動物に比べ、より多くの冬眠を必要とするのか
- 「滋賀大学大学院教育学研究科論文集」の創刊にあたって
- シリアンハムスターの精巣・体重発達に関わる光周期・居住条件・餌の交互作用
- O-3-08 シリアンハムスターの精巣・体重発達を規定する光周期・居住条件・餌の種類(日本動物心理学会第58回大会発表要旨)
- O-1-1 モンゴリアン・ジャービルの光周反応性(日本動物心理学会第57回大会発表要旨)
- ジャンガリアンハムスターのdaily torporとシリアンハムスターの冬眠にみられる季節適応の比較考察(日本動物心理学会第57回大会)
- スナネズミは短日に応答するのか
- O-2-3 心理的ストレスはシリアハムスターの冬眠を誘発する(日本動物心理学会第56回大会発表要旨)
- 我国における時間生物学の研究動向
- 食餌や水の予測できない剥奪に由来するストレスは光周環境と交絡する
- 眠る・覚める(V.発表要旨,1992年日本基礎心理学会フォーラム)
- 眠る・覚める--睡眠,休眠,冬眠の生理生物学的心理学 (日常行動の基礎心理学)
- O-I-1 体重・性発達に及ぼす日長とストレスの効果(ゴールデンハムスター)日本動物心理学会第51回大会発表要旨
- 時間の生物学 (時間の教育と医学)
- 津本忠治著『脳と発達』
- サ-カディアン・システムの神経機構とその生理心理学
- 児童の発達に関する調査研究 : その5 Visual Aesthetic Sensitivity Test
- 児童の発達に関する調査研究 : その4身体的特徴の自己評価と自己概念
- オペラント行動と行動薬理学--安東氏の論文を読んで (コメント〔「心理学評論」特集号 オペラント(1975,Vol.18 No.3)について〕)