青年期の共感性の発達 : 多次元的視点による検討
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概要
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既存の複数の共感性尺度をもとに、新たな項目も加えて青年期用の新たな多次元的共感性尺度を作成した。この尺度は共感的関心(他者の不運な感情体験に対し,自分も同じような気持ちになり,他者の状況に対応した,他者志向の暖かい気持ちをもつ),個人的苦痛(他者の苦痛に対して,不安や苦痛など,他者に向かわない自分中心の感情的反応をする),ファンタジー(小説や映画などに登場する架空の他者に感情移入する),気持ちの想像(他者の気持ちや状況を想像する)の4下位尺度からなり,青年前期・中期・後期を通して同じ意味内容で検討でき,利用できる尺度である。既存の共感性尺度や向社会的行動尺度との関係,項目分析,信頼性分析によって尺度の妥当性,信頼性が確認された。この尺度を用いて中学生,高校生,大学生の共感性の発達を検討したところ,男子はどの下位尺度得点も中学生では女子より低いが,共感的関心と気持ちの想像は高校生,大学生と徐々に高くなり,性差は減少する。また,共感的関心と気持ちの想像が高い男子の場合,中学生から高校生にかけて,個人的苦痛を感じる人の比率が高くなり,気持ちの想像が高い男子の場合は高校生から大学生にかけて,個人的苦痛が低い人が増えるという変化がみられた。女子の場合は,共感的関心と気持ちの想像は中学3年生が高いが,その後はやや減少し,ファンタジーが高校生より大学生が高いほかは,顕著な発達的変化はみられなかった。
- 日本発達心理学会の論文
- 2003-08-15
著者
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