リラクセーションメソッドとしての筋電図バイオフィードバック療法(<シンポジウム>筋電図バイオフィードバックとリハビリテーション)
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概要
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筋電図はフィードバックの指標として最も多く用いられており,きわめて広い応用がなされている.従来バイオフィードバック療法に用いられるモダリティは,多くの場合,その病態に基づいて,疾患単位で画一的に決められている.しかし,実際にはこの対応関係では奏功しなかった患者や,様々な症状が出現していて,どのモダリティを用いていいのか判断に迷う心身症患者も多数存在する.我々はこれまでの報告で,バイオフィードバック療法の治療効果は,病名や病型によるものではなく,フィードバック指標が患者の病態を的確に反映し,そして合目的な方向への学習の余地と生理学的反応性があるケースでなければ治療効果は上がらないことを指摘してきた.これらの観点から,我々は複数の生理学的指標を同時にフィードバックするマルチフィードバックを行ってきた.マルチフィードバックをすることにより,患者は最も制御しやすい指標やその時の生理・心理的状態に合った指標が使えること,また,ある指標の制御に失敗した場合でも,他の指標を選択,変更することで患者の負担を軽減し,バイオフィードバック療法への動機を持続させることができるなど臨床上での利点を確認できた.本論文では,こうしたリラクセーションメソッドとしての筋電図バイオフィードバックの活用方法や治療的工夫について紹介する.
- 2002-09-22