黒潮親潮移行域周辺におけるスルメイカ幼体の分布
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概要
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1994〜1996年に黒潮親潮移行域におけるスルメイカ幼体の分布様式を調査した。調査は各年4月に実施し,海域は房総〜常磐沖合域に設定した。水温を用いた水塊区分により,調査海域を親潮水域,冷水域,暖水域,黒潮水域に区分し,スルメイカの分布を比較した。口径2m,目合い3mmのリングネットによる採集で,外套背長5〜35mm(7〜15mm主体)の幼体が採集された。幼体が多く分布していたのは,各年とも暖水域であり,その他の水域では分布密度は低くかった。また,冷水域と暖水域の水温フロント周辺では高密度に分布する点も見られた。しかし,外套背長の違いによる分布の差は認められず,スルメイカ幼体の分布は海流による受動的な輸送の結果と考えられた。幼体の分布が集中した暖水域は,黒潮水域に隣接した100m深水温10℃以上の暖水域であり,餌料となる動物プランクトンも豊富な海域とされている。この水域にスルメイカ幼体が移送されることは,その後の成長・生残に好適な影響を及ぼすと考えられた。
- 公益社団法人日本水産学会の論文
- 2003-01-15
著者
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