7.超高圧X線による肺癌の治療とくに照射野の設定について : 第46回支部活動 : 関東支部

概要

論文の詳細を見る
6MeVLinaeX線による治療を行なってから5年以上経過したので照射術式や成績を中心に報告する,1966〜72年迄4000rads以上照射した原発性肺癌の症例は96例で2/3はstage皿以上の進行癌であった.照射野については縦隔鏡検査で55例中18例33%に、また67Ga肺シンチで93例中18例約1/5に縦隔転移を認めたことから,この部位への照射は重要であつ,そのため腫瘍陰影,患側肺門,気管支分岐部,侠気管リンパ節更には組織像によっては鎖骨上窩までを照射野に入れ治療している.照射線量は5000〜8000rads,overautime5〜8Wで治療している.Li-naeによる腫瘍陰影に対する一次効果は完全消失51%,1/2以上の縮小40%。無効9%であり従来のX線節の著効20%,Co-60の30%と比べるとはるかに優れていた.また粗生存率は1年48%,2年24%,3年18%,5年9%でとくに1〜2年の生存率は向上した.この原因は腫瘍消失の効果および照射野の改善が大きく影響していると思われる.ただ3年以上の成績は従来の成績と差が少なく,術前照射でも同様の傾向がみられた,これは遠隔転移によるもので今後肺癌の治療成績向上には全身作用機点をもつ化学療法との適切な併用が必要と思われます.
日本肺癌学会の論文
1973-12-25