実験的尿路感染症に関する研究 : Staphylococcus epidermidisによるマウス腎・膀胱内定着について
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概要
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臨床分離株のStaphylococcus epidermidis 8株を用いて,莢膜保有の有無,slime産生能,マウス致死性, 莢膜血清型別,プラスチック固相への付着および腎細胞,膀胱上皮細胞への付着について検討した.これらの菌株のマウス腹腔内攻撃では, 莢膜保有3株はマウス致死性を示したが,slime産生2株および莢膜非保有3株は,マウス非致死性であった.マウス致死性株を電顕的に観察したところ,明らかな莢膜の存在が見られたが,マウス非致死性株では莢膜は見られなかった.一方,プラスチック固相への付着はslime産生株が莢膜保有株よりも高い値を示した.また,膀胱上皮細胞への直接の付着率は莢膜保有株がSlime産生株よりも高い値を示したが,腎細胞への付着では菌株問に差はみられなかった.また,マウス静脈内および膀胱内へ10^7 colony forming unitsの生菌を接種し各臓器への定着性についても検討した.マウス膀胱内直接接種による生菌数の消長では, 莢膜保有株は腎では28日後,膀胱では21日後まで生菌が検出されたが,slime産生株及び莢膜非保有株では腎で7日後,膀胱では3日後まで残存したにすぎなかった.一方,静脈内接種では,各菌株間に顕著な差は認められなかった.以上の結果から, 莢膜保有株はSlime産生株および莢膜非保有株に比べ,膀胱への定着性が高いことが示唆された.
- 社団法人日本泌尿器科学会の論文
- 1993-09-20
著者
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