ESWL治療を行った上部尿路結石症の臨床的検討 : 治療前の細菌尿との関係について

概要

論文の詳細を見る
ESWL単独治療前に細菌尿を合併した症例の性別,結石の位置,大きさ,成分の特長を見いだすため,また治療前の細菌尿と治療後の発熱との関係を明らかにする目的で,ESWL単独治療を施行した670例(腎結石440例,尿管結石230例)を対象に検討し,以下の結果を得た. 1.腎結石440例中40例(9%),尿管結石230例中12例(5%)に細菌尿を認めた. 2.女性(11%)は男性(6%)に比し有意に細菌尿陽性率が高かった(p<0.05). 3.尿中分離菌はPseudomonas aeruginosa 10例,Escherichia coli 7例,Proteus mirabilis 6例の順に多かった. 4.腎結石において,部位ではR_2が細菌尿陽性例の93%を占めた.大きさ別の細菌尿陽性率はDS6が19%ともっとも高く,DS3,4,5は約10%とほぼ同様であった.尿管結石では部位,大きさと陽性率との間に関係は認められなかった. 5.結石成分では,燐酸マグネシウムアンモニウム,燐酸Ca・炭酸Ca,修酸Ca・燐酸Ca・炭酸Caの細菌尿陽性率が高かった. 6.ESWL後に発熱を来した症例は治療前に細菌尿陽性例が有意に多かった(p<0.01).
社団法人日本泌尿器科学会の論文
1993-05-20