上部尿路結石症に対する内視鏡的治療後の結石の再発,増大に関する統計学的研究 : 多変量解析による再発,増大因子の検討
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
上部尿路結石症の再発や残石の増大に関与する因子を評価するため,endourologyで治療した167腎単位を対象に,単変量解析法と多変量解析法を用いて統計学的に検討した.167腎単位中,再発は28腎単位(17%)に,増大は16腎単位(10%)に見られた.また全再発の71%,全増大の81%が術後3カ月から2年以内の早期に発生した.単変量解析法での検討では,いずれの因子間にも有意差を認めなかった.一方,多変量解析法での検討は,Coxの比例ハザードモデルでは腎盂腎杯結石,大きさ20mm以上,PNL,尿路結石の既往あり,大きさ10mmから20mm,2個以上の6変数が有意に再発,増大に関与し,段階的選択で腎盂腎杯結石,尿路結石の既往あり,UPJおよび上部尿管結石の3変数が促進因子,大きさ10mmから20mmが抑制因子として選ばれた.ロジスティック回帰分析では尿路結石の既往あり,治療不成功,腎盂腎杯結石,2個以上の4変数が有意に再発,増大に関与し,段階的選択で尿路結石の既往あり,PNL,治療不成功の3変数が促進因子,61歳以上が抑制因子として選ばれた.以上の解析結果から尿路結石の既往あり,腎盂腎杯結石,2個以上の3変数が再発,増大の危険因子と判明した.中でも尿路結石の既往ありは両解析ともに段階的に選択された唯一の危険因子であり,再発症例には結石の完全除去のみならず再発予防療法を含む注意深い経過観察が必要と考えられた.
- 社団法人日本泌尿器科学会の論文
- 1994-11-20
著者
関連論文
- 1994年の広島市及びその周辺におけるSTDの動向
- PNLとTUL 第3報 : Problem stoneについて : 第80回広島地方会
- 精巣破裂で発見された精巣腫瘍の1例
- CISに随伴する表在性膀胱癌の組織学的検討
- 浸潤性膀胱癌の初期発育形態 : pT1癌の病理組織学的検討
- 膀胱癌の術後病理組織学的分類に関する研究
- Multilocular renal cyst の1例
- 子宮頚癌の両側腎転移の1例(第58回山陰地方会)
- 陰茎折症の1例 : 第74回広島地方会
- 自然発生の腎盂外尿溢流の3例 : 第74回広島地方会
- 再発性尿路結石症により発見された原発性副甲状腺機能亢進症の1例 : 第73回広島地方会
- 腎癌に対する double filtration plasmapheresis の経験 : 第73回広島地方会
- 腎癌に対する根治的腎摘除術における腎到達経路の検討 : 特に肋骨弓下横切開について
- 膀胱粘膜多部位生検による潜在的悪性度の認識 : 表在性膀胱癌の治療の諸問題 : 第74回日本泌尿器科学会総会
- Endourology症例の予後に関する検討 : 第80回日本泌尿器科学会総会
- Percutaneous nephrolithotripsy (PNL), Transurethral ureterolithotripsy (TUL)の経験 : 第79回広島地方会
- 膀胱マラコプラキーの1例 : 第70回広島地方会
- 外尿道口嚢腫の2例 : 第69回広島地方会
- 膀胱膣瘻に合併した瘻孔結石の1例 : 第69回広島地方会
- 抗男性ホルモン治療に抵抗性の進行性前立腺癌の治療経験 : 第68回広島地方会
- 上部尿路結石症に対する内視鏡的治療後の結石の再発,増大に関する統計学的研究 : 多変量解析による再発,増大因子の検討
- 小畠病院泌尿器科における1992年度の臨床統計 : 第95回広島地方会
- レーザーを用いたTUL : 副作用,合併症を中心に : 第92回広島地方会
- ESWL治療を行った上部尿路結石症の臨床的検討 : 治療前の細菌尿との関係について
- 腎盂切石術の統計的観察(1970〜1979) : 第67回広島地方会