前立腺がん検診におけるカットオフ値としてのPSA年齢別基準値の検討

概要

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(背景と目的)前立腺がん検診における受診者のPSAと年齢との関係を解析し,PSAの年齢別基準値を算定した.さらに,これを前立腺がん検診のPSAのカットオフ値として使用すると仮定した場合の問題点を検討した.(対象と方法)対象は1995年から1997年の3年間に基本健康診査に相乗りした形で,京都府乙訓地域で行った前立腺がん検診の受診者のうち,前立腺癌症例を除いた55〜89歳の初回受診者5,206人である.スクリーニング検査でのPSA測定は静脈血全血の一部(1〜2滴)を専用の濾紙に滴下し,のちに大量一括測定する,いわゆる静脈血濾紙法にて行った.測定にはDelfia PSA測定キットを用いた.(結果)PSAは患者年齢とともに上昇していた.95パーセンタイル値を上限とした血清PSAの年齢別基準値は50歳台(55〜59歳);2.1ng/ml,60歳台(60〜69歳);3.2ng/ml,70歳台(70〜79歳);4.4ng/ml,80歳台(80〜89歳);6.5ng/mlであった.今回の検診で各年代のPSAの年齢別基準値をカットオフ値として採用した場合,要精査者は減少せず,76〜80歳で5例の癌が見逃された.(結論)PSAの年齢別基準値を前立腺がん検診のスクリーニング検査のカットオフ値とすることは,検診の効率化につながる可能性は低く,また70歳以上では前立腺癌患者の一部を見逃す可能性があり,積極的に活用するための根拠は現段階では示されなかった.
社団法人日本泌尿器科学会の論文
1999-11-20

前立腺がん検診におけるカットオフ値としてのPSA年齢別基準値の検討

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