腎細胞癌における血管内皮成長因子VEGFと毛細血管数の相関
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概要
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(背景と目的)腎細胞癌における血管新生因子vascular endothelial growth factor(VEGF),血管内皮に存在する受容体kinase domain receptor(KDR)の遺伝子発現と毛細血管密度の関連を検討した。(対象と方法)腎細胞癌22例の摘出標本を対象として第VIII因子を用いた免疫組織染色を行い,腫瘍組織内の毛細血管数を計測し,ノーザンプロット法を用いてVEGF遺伝子とKDR遺伝子の発現を検討した。(結果)免疫組織染色を用いた腫瘍組織の毛細血管数は平均62.7(13.7-133.1)コ/mm^2であった。ノーザンプロット法でVEGF遺伝子の発現量を正常腎組織と腫瘍組織で比較すると,22例中18例(82.8%)で腫瘍部位に正常組織より過剰なVEGF遺伝子発現を認めた。このVEGFはRT-PCR法で可溶型VEGF蛋白に相当することが示された。VEGF遺伝子とKDR遺伝子の発現量を検討した結果,両者には有意な相関を認めた(r=0.780,p=0.O01)。VEGF遺伝子の発現量と毛細血管密度にも有意な正の相関を認めた(r:0.636,p=0.001)。(結論)以上のことから腎細胞癌はVEGFを分泌し,そのVEGFは可溶型であることが示唆された。腎細胞癌では腫瘍の産生するVEGFとその受容体KDRが協調的に血管新生を促進していると考えられた。
- 1996-08-20
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