経皮的腎盂尿管切開術後の尿管機能に関する実験的検討
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概要
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(背景と目的) 経皮的腎盂尿管切開術が尿管機能に与える影響について実験的検討を行い, 本術式の妥当性について検討した. (対象と方法) 雑種成犬の上部尿管に縦切開を加え, 切開部は縫合せず, スプリントカテーテルを4週間留置した.縦切開後5週, 12週, 24週で再開腹し, 腎瘻を造設して生理食塩水を注入しながら切開部の尿管筋電図を導出し, 同時に尿ボーラス量を測定した.また, 尿管壁の柔軟性を検討するために切開部尿管のコンプライアンスを測定した.縦切開未施行の成犬においても同様の測定実験を施行し, これをコントロールとした.さらに術後の組織学的所見を経時的に観察した. (結果) 尿管蠕動頻度あるいは尿ボーラス量は, 12週, 24週群では腎盂内注入量が増加するに従って増加したが, 5週群では十分に増加せず, 逆蠕動の出現頻度も増加した.切開部の尿管蠕動伝播速度は5週, 12週群でコントロールと比較して有意に遅延したが, 24週群では回復した.切開部の尿管コンプライアンスは5週群でコントロールと比較して有意に低下したが, 12週, 24週群では有意差はなかった.組織学的には5週群では切開部は肉芽組織で覆われていたが12週で切開部はほぼ平滑筋で覆われた. (結論) 尿管縦切開術後には尿管機能は一過性に低下するがその後徐々に改善することがわかり, 経皮的腎盂尿管切開術の妥当性が実験的に示唆された.
- 社団法人日本泌尿器科学会の論文
- 1995-12-20
著者
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