膀胱移行上皮癌に対するBacillus Calmette-Guerinの作用機序に関する研究 : 特に組織内浸潤細胞の変動
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概要
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1983年10月から1989年10月までの間に弘前大学泌尿器科で膀胱移行上皮癌と診断され、BCG治療をうけた103症例において、BCGの抗腫瘍効果を判定するとともに、BCG膀胱内注入(BCG傍注)後に増加する各種組織内浸潤細胞が、BCGの作用機序にいかに関わっているかを検討した.72例の表在住癌において、CR19例、PR28例で有効率65.3%を示し、BCG傍注回数が多いほど効果が大きかった.リンパ球、形質細胞、組織球、好中球、好酸球の浸潤度を腫瘍間質で経時的にみると、傍注前はリンパ球ないし形質細胞の浸潤は認めたが、他細胞はほとんど認めえなかったのに対し、傍注後はいずれの細胞も増加する傾向を示した.浸潤細胞の平均浸潤度の変動を比較すると、腫瘍間質では、ほぼすべての細胞が有意に増加したが、腫瘍底部,非腫瘍部では主にリンパ球と組織球が有意に増加した.類上皮細胞肉芽腫は、傍注後、特に腫瘍底部または非腫瘍部で形成されることが多く、ときにラングハンス型巨細胞が存在し、2例に鮮明な乾酪壊死を認めた.表在住癌において、リンパ球と組織球は、BCG治療有効例では、腫瘍間質、腫瘍底部、非腫瘍部のいずれにおいても有意に増加したが、無効例では腫瘍間質において有意に増加したのみであった.BCG傍注後増加したリンパ球は、ほとんどT_p細胞で、そのT_h/T_s比は1.0以上とT_<h/i>細胞が優位であった.
- 1993-02-20
著者
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鈴木 唯司
弘前大学医学部泌尿器科
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工藤 真哉
聖隷浜松病院泌尿器科
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稲積 秀一
豊橋市民病院
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工藤 真哉
聖隷浜松病院 泌尿器科
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工藤 真哉
弘前大学 泌尿器科
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工藤 真哉
弘前大学医学部泌尿器科学教室
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稲積 秀一
豊橋市民病院泌尿器科
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