ラット膀胱化学発癌過程におけるラット尿組分画の膀胱発癌促進作用

概要

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以前より膀胱発癌過程において尿は発癌物質のCarrierとして、また発癌物質によりinitiateされた膀胱粘膜にpromotor作用を示すことが報告されている。今回の実験は、尿のpromoter作用は、尿全体の非特異的作用によるものかあるいは尿中の特異物質によるものかを分析するため、2種類の尿粗分画(分子量50,OOO以下の尿と分子量1,O00以下の尿)を作成し、これらの尿組分画をあらかじめ10週または4週間BBNの前投与をうけたHTBモデルに投与することにより、これらの尿粗分画の膀胱発癌過程に及ぼす影響を検討した。その結果、BBN10週及び4週投与群において分子量50,000以下の尿の投与群は全尿投与群と同様の腫瘍発生率を示し,分子量1,000以下の尿の投与群や2.1%NaC1液を投与した対照群と比較して高率に腫瘍発生を認めた.またBBN10週投与群において,分子量1,000以下の尿の投与群も2.1%NaC1液を投与した対照群より高い腫瘍発生率を示したことより,正常ラット尿の分子量1,000から50,O00の間に膀胱発癌促進作用を有する因子が存在し、かつ分子量1,OOO以下にも作用はそれ程強くはないが、膀胱発癌促進作用を有する因子が存在することが示唆された。
社団法人日本泌尿器科学会の論文