培養ヒト膀胱癌細胞株による制癌剤感受性試験

概要

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再増殖測定法により培養ヒト膀胱癌細胞に対する制癌剤感受性試験を行った.使用した制癌剤はDoxorubicin hydrochloride(ADM), Carboquone(CQ), Mitomycin C(MMC), Fluoracil(5-FU), Cisdiamminedichloroplatinum(CDDP)およびNimustine hydrochloride(ACNU)の計6種類である.使用した培養ヒト膀胱癌細胞株はT24,MGH-U1,KU-1およびNBT-2の計4株であり,更に対照としてヒト羊膜由来のFLを用いた.制癌剤を2時間負荷後の生長曲線を作製し,生残率曲線を求め,90%致死量値・LD_<90>を得た.制癌剤のヒト最大耐量(MTD)とLD_<90>との比から求められる治療係数(MTD/LD_<90>)ではADMが最も高値を示し,次いでCQ,MMC,5-FUの11順であった.LD_<90>と制癌剤の常用薬量(CUD)との比から求められる臨床係数(LD_<90>/CUD)では ADM,CQが高値を示し,次いで5-FU,CDDP,MMCの順であった.更に制癌剤の正常細胞へ対する副作用を知るために算出した副作用係数(LD_<90>/LD_<90>.FL)ではACNUが高値を示し,5-FU,ADMは低値であった.以上のことから,臨床的に膀胱癌の治療によく用いられているADM,CQ,5-FUは培養ヒト膀胱癌細胞に対して優れた効果をあげていることが実験的に証明された.
社団法人日本泌尿器科学会の論文