ヒト腎細胞癌のin vitro浸潤能とin vitro浸潤能に対する成長因子(EGF,TGF-β_1)の影響

概要

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ヒト腎細胞癌はその経過中に高頻度に遠隔転移をきたすが,その機序に関しての詳細は不明の点が少なくない.In Vitro invasion assayはin Vitroで迅速に癌細胞の浸潤能を検討できるとされているが,ヒト腎細胞癌での検討はない.そこで,当科で樹立した4つの継代株(SMKT-R-1,2,3,4)を用いて転移形成の一過程である浸潤能と2種の成長因子(EGF,TGF-β_1)の浸潤能に対する影響について検討した.Albiniら,濟木らの方法に準じ,8μmのpore sizeのfilterにMatrigel[○!R]をcoatingし,chemoattractantとしてfibronectinを用いた.4株のヒト腎細胞癌のうちSMKT-R-3,R-4の2株が他の2株に比べ,高い浸潤能を有していることが示唆された.また,それぞれの株にその程度に相違を認めたが4株すべてEGFにより浸潤能が増強され,逆にTGF-β_1により抑制されたことにより,2つの成長因子は"浸潤"において相反する作用があることが示唆された.
社団法人日本泌尿器科学会の論文
1991-04-20