脊髄損傷膀胱の機能回復と仙髄領域の知覚に関する臨床的研究

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脊髄損傷の急性期から回復期における膀胱機能回復と仙髄領域の知覚との関係を検討した.総合脊髄センターに収容した脊髄損傷新鮮例のなかで核土性膀胱86例を対象とし,仙髄領域の知覚が残存している群(S群)46例と,仙髄領域の知覚がない群(N群)40例とに分類した.膀胱が受傷後の脊髄ショックから回復期に入るまでのいわゆる急性期の期間,尿流動態検査結果および回復後の排尿状態について上記2群間の有意差を検定し,以下の結果を得た.1.膀胱が受傷から回復期に入るまでの期間がS群は56.0±59.5日(mean±SD),N群は95.0土67.2日であり,S群が有意に短かった.2.尿流動態検査(1)排尿時の膀胱内圧については,高圧膀胱症例がS群の6.5%,N群の27.5%を占めた.(2)排尿時の外括約筋部尿道内圧については,S群の60.9%が排尿筋括約筋協調症例で,N群の77.5%が不協調症例であった.(3)前記(1),(2)の膀胱内圧と外括約筋部尿道内圧とを組合わせて検討したところ排尿時膀胱内圧が正常圧で,かつ外括約筋部尿道内圧が協調型である症例は,N群の10%に比べS群では47.8%と有意に多かった.いっぽう排尿時膀胱内圧が高圧で,かつ外括約筋部尿道内圧が不協調型である症例はS群ではわずか1例であったが,N群では22.5%を占めた.3.回復後の排尿様式については,S群では22例がコントロール排尿可能となったが,N群では,コントロール排尿が可能な症例はなかった.以上の結果から,脊髄損傷の急性期における仙髄領域の知覚の有無は脊髄損傷患者の膀胱機能の回復を予測するよい指標どたり,仙髄領域の知覚があるものはないものに比べてよい膀胱機能が期待できると考えられた.

脊髄損傷膀胱の機能回復と仙髄領域の知覚に関する臨床的研究

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