排尿機構に関する実験的研究 : 特に陰部神経切断時の膀胱, 尿道の動態について
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概要
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排尿動態における陰部神経の役割を明らかにするために,膀胱内圧,外尿道括約筋筋電図および尿流量率同時記録法とpressure-flow-plot法を検討手段に用いて実験を行なった.除脳無麻酔下とした雑種成犬を対象とし,陰部神経の切断前後で膀胱の生理的食塩水による注入伸展を行なった際の膀胱および尿道の動態について検討を加えた.神経切断前のコントロール時には再現性の良好な反射性排尿を認め,膀胱収縮と外尿道括約筋の律動性〓縮により膀胱内容の排出が行なわれるが,多くの場合残尿が存在することが特徴的な排尿動態であった.陰部神経切断後の排尿動態は以下のように分けられた.すなわち両側陰部神経切断後も膀胱収縮が持続したもの,両側陰部神経切断後に初めて横溢性尿失禁が生じたもの,片側陰部神経切断後にすでに横溢性尿失禁を生じたものに分けられた.神経切断後に膀胱収縮が生じた場合には,排尿動態は神経切断前と比較すると明らかに異なっており,外尿道括約筋の律動性〓縮の減弱または消失に伴って排尿効率の低下を認めた.陰部神経は排尿の中断ならびに随意的蓄尿保持作用を司さどるとされてきたが,除脳犬においては排尿時に外尿道括約筋の律動性〓縮をひき起こすとともに膀胱内容の排出に大きく寄与すると考えられた.
- 社団法人日本泌尿器科学会の論文
- 1984-10-20
著者
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